- □酒造りの基礎知識
日本酒は米を原料とした酒です。
米をアルコールにするには、デンプン→糖→アルコールと経過を辿らなければなりません。
日本酒ではデンプンを糖に変える「糖化」を麹菌の酵素によって行い、糖をアルコールに変える「発酵」を酵母の代謝によって行います。
さらに「糖化」と「発酵」を1つのモロミの中で並行して発酵させる並行複発酵という発酵法を行うことによって、コンスタントに酵母に糖が与えられ高アルコールと複雑な香味が得られます。
並行複発酵による発酵終了までの経過には、麹の糖化力、酵母の種類と発酵力、モロミの温度経過、精米歩合、品種、水、乳酸の繁殖方法など様々な要因が関係するため、複雑な味わいが形成されます。
さらに上層のタイミング、ろ過の方法、火入れ、貯蔵法、期間によって千差万別の日本酒が造られます。これだけの要因を理解し良い酒を醸すもは並大抵のことではありません。
稲作文化が伝えられた頃から行われてきたであろう酒造りは、長い歴史の中で培われてきた伝統文化です。ワインやビールのように、放っておいて出来るものではありません。
長い歴史の中で麹の概念や、精米、酒母、三段仕込、酵母、吟醸、火入れなどの技術が培われてきました。(アル添は伝統文化ではありません。米不足の緊急避難措置です)
日本酒とは数千年の努力の結晶なのです。
□日本酒=米を原料として、麹と酵母による並行複発酵で造られる酒。
□日本酒の原料
□掛米
←麹に糖化されるエサ
□
米麹 ←デンプンを糖に分解
□
酵母 ←糖をアルコールとガスに分解
□
水 ←以上を集積する培養地
□
乳酸 ←雑菌の繁殖を抑える
□日本酒とどぶろく
日本酒もどぶろくも、米を原料とした酒という点では全く同じものです。
違いは、合法か非合法かです。
どぶろくは何の規定もない密造酒ですから、それはどう作ろうが日本酒でも何でもありません。
一方日本酒とは、酒類の製造免許を持ったものが米と米麹による並行複発酵によって製造し、何らかの形でろ過したものをいい、酒税を払って販売しているものです。
どぶろくは非合法である時点で、それはどぶろくでも何でもない存在しない日本酒以外のものです。
実の所、いくら私が日本酒に近いやり方でどぶろくを造っても、それは日本酒でもどぶろくでもないのです。
ただの存在しない液体です。
たとえ大手の工場が、酵素で溶かしたクズ米に少量の機械麹と酵母を加え発酵させて、大量のアルコールと糖と酸味料とグルタミンを加えて、丁寧にろ過した嵩増しした液体や、それに順ずるものが日本酒だと当たり前のように言われ馬鹿に販売されても、私の行った当然米だけを原料とし、手造りの麹と清酒酵母を用いて三段仕込をおこなったものは存在しないものなのです。
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