□三段仕込み
日本酒を造る発酵法として、並行複発酵と並び重要なのがこの三段仕込みです。
三段仕込みとは酒母に初添え、仲添え、留添えと仕込みを三回に分けて、徐々に容量を増やしていく仕込み方です。
こうすることで酵母や乳酸などの酸濃度を薄めることなく培養でき、酵母を段階的に増やしていくことによって、一度に仕込む場合に比べ高い酵母量を獲られます。
安全醸造、腐造の危険性を防ぎたい想いが三段仕込みの概念につながったと思われます。
どぶろく本には少量仕込むどぶろくでは一度に仕込むのと三段仕込みをするのと変わりはないと書かれていましたが、私はそうは思いません。
どちらが良いかと言う訳ではなく、理論的に説明は出来ませんが違いは感覚的に分かります、必ず違いは現れると思います。荒ぶるどぶろく造りでは、日本酒文化をより理解することに意味を持つため、意味があろうがなかろうが、長い歴史の中でたどり着いた三段仕込みを行わないなどとは考える事が出来ません。どぶろく仕込のコンテンツも作成しましたが、これはあくまで比較用です。
三段仕込みのどぶろくこそ意味を持つのです。
さらにいえば、酒粕清酒酵母、手造り米麹、三段仕込みの三つこそ荒ぶるどぶろく造りの核なのです。
□三段仕込み
□酒母
←モロミの基。ここから酵母を増やしていきます。
□初添え ←酒母の酵母に更なる栄養を。
□踊り
←1日休んで増殖期間を設けます。
□仲添え ←さらに栄養。
□留添え
←またまた栄養。
□配合例 総米 麹米 掛米 水 培養酵母 乳酸
□酒母
60 20 40
70 いくらでも 0.5%濃度
□初添え 170
40
130 200 - -
□踊り
-
-
-
-
-
-
□仲添え
300 50
250
360
-
-
□留添え
470
90
380
770
-
-
計
1000
200 800
1400
-
-
※あくまで参考です。
□酒母(水添、本添)
荒ぶるどぶろくは速醸(酒母に乳酸を添加する方法)ですので、掛米、米麹、培養酵母、水、乳酸を混ぜます。まず水に麹米、乳酸、培養酵母をいれて水に成分を溶かします(水麹)。
その二時間後に掛米を入れて適度に米を潰さない様にかき混ぜます。
このときの品温は18度程度、水麹は12度程度になるように水の温度を管理しましょう。
酒母は酵母培養の下地であり、10〜15日程度を酒母期間にします。
酒母は外に置いておきましょう。最終的に品温は10℃程度なるようにします。
その間に泡が立つなど液面に変化があります。
これは酵母の状態を表すもので、いくつかの泡の変化があったあと、泡が消えたら酒母期間の終了です。翌日に初添えを行います。原料処理の準備をしましょう。
品温の管理は以下を利用します。
本添え時の蒸米温度=(仕込み温度−水麹温度)×5+水麹温度
水麹の温度を下げる場合は氷を使ってもかまいません。温度を上げる場合はあまりないと思います。
□初添え(水添、本添)
酒母の酵母に更なる栄養を与えて酵母数をさらに増やします。
まず掛米を入れる二時間前に水麹を準備します。水と米麹だけで培養液は要りません。
そして掛米を入れてから酒母に添加します(本添え)。
仕込み後の品温は12〜15℃程度になるようにして、酵母の培養を促進します。
□枯らし
酵母培養の期間を設けるため、一日何もせず置いておきます。
□仲添え(水添、本添)
一時間前に水麹を仕込み掛米を入れて酒母に添加します。
この時の本添えの品温は10度くらいです。
□留添え(水添、本添)
二時間前に水麹を仕込んで本添えします。
この時の本添え温度は8度くらいです。
こうすることによって初添え、仲添え、留添えとだんだん品温が下がります。
これで後は発酵していくのを見守るだけです。
切り上げのタイミングは難しいですが、酵母の繁殖がとまるか、モロミの味を見て判断します。
酒母から発酵切り上げまでの間に細かい温度管理や、暖気入れ、櫂入れ、細かな温度管理などこだわりのポイントはありますが、素人のどぶろく造りでは仕事との関係上常、モロミを管理することは非常に難しくなっています。可能な方は□いざ純米酒を参考にチャレンジしていただきたいと思います。
発酵が終了したら次はろ過方法です。
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