□米麹
米麹とは、蒸米に麹菌を繁殖さたものです。
蒸米に麹菌を散布し、温度管理により麹菌の繁殖を促す事を麹つくり、製麹といいます。この麹造りは日本酒発酵の2つのキーワード「糖化」と「発酵」の、「糖化」を司る非常に重要な部分です。
麹菌の糖化は、一気に糖化するのではなく、発酵が進み麹米が溶けていく過程で酵素が徐々に溶け出し、コンスタントに酵母に糖を供給することで、20℃近い高アルコールを得られます。この「徐々に供給する」ということは非常に重要で、発酵終盤まで糖化を行える麹、すなわち突き破精型の麹が良い麹とされています。
破精とは麹菌の菌糸の食い込み具合をいい、突き破精型の麹とは、麹菌の菌糸が米の中心部まで喰い込んだ麹のことをいいます。中心部まで食い込んでいると言うことは、外側が溶けてしまっても、まだ中心部には酵素が残っていると言うことです。
終盤まで発酵を行うと、酵母が糖を食いきり、未発酵成分が少なく雑味の少ない清らかで強い酒となります。強い酒とは味の変質が少なく劣化しにくい酒であり、熟成に向く良酒です。
このことを追求していくと、酵母にはギリギリの栄養を与えながら香味を引き出し、長期に渡る発酵で糖を切り、完全発酵されることで綺麗な酒質を得る、高精米、突きハゼ型の麹、低温発酵の吟醸造りになります。
しかしこの突きハゼ型の麹と言うのは個人で作るには非常に難しい。米を削れない、酒造好適米の入手が難しい、麹室がないため温度管理が難しいなど非常に不利な状態です。
この麹を造る技術こそプロの技術、酒屋万流の由縁です。
手造り麹には温度管理が出来る□麹箱と□麹蓋が必須です。
個人でこの難しい麹造りを行うことが、日本酒文化、麹文化の理解に非常に重要です。
ぜひどぶろくをやる際には米麹にもチャレンジしましょう。全然上手くいきません。
麹を自分で造らないどぶろくは、水に米と市販の麹米、ドライイーストを加えるだけですから到底意味のあるものとは思えません。
□種麹
蒸米に散布する麹菌を種麹と言います。
あらかじめ麹屋さんで米に麹菌を繁殖させ、それを振ることにより麹菌が散布されます。
清酒用種麹は一般には流通していないため、入手は直接麹屋さんに問い合わせるしかありません。麹屋さんは潟rオックで検索するとよいでしょう。メールフォームで問い合わせれば一袋単位で個人注文が可能です(米麹用種麹はオンラインショップで販売しています)。
この荒ぶるどぶろく造りのひとつのテーマに、限りなく日本酒(清酒じゃなくて)に近いどぶろくを造るというのがありますので、なるべく綺麗な酒を作りたい。と言う思いがあります。綺麗な酒を作るにはタンパク質分解酵素の低い種麹を選ぶことが重要です。
たんぱく質を分解することでアミノ酸ができ、このアミノ酸が溶けだし味の多さにつながります。
しかしどぶろくである以上、精米歩合の高さなどからどうしてもたんぱく質が多く雑味が多くなってしまいます。(米の表面には蛋白、脂肪が多い)
そして清酒用種麹ではなく、他のどぶろく造りで使われる米麹用種麹、あらかじめ造られ売っている米麹である場合、味噌や醤油用としても使われることを前提としていることから、ある程度酸性プロテアーゼが高いだろうと予測することができます。(味噌、醤油はたんぱく質を分解して味を出す)
荒ぶるどぶろくでも精米75〜80であることから、通常の純米酒の精米歩合(60位が多い)よりかなり米が黒いことになります。
このことからビオック種麹の中でも、吟醸より精米歩合の高い純米酒に使われ、プロテアーゼの低い純米酒用を使用します。
そして種麹だけではなく、麹造りもプロテアーゼが働きにくい状況下で行う必要があります。他にもいろいろ工夫しなければなりません。こういった積み重ねの中で、低精米どぶろくでも綺麗な酒が出来上がるはずです。
つまりどぶろく造りに適する米麹とは、タンパク質分解酵素の低い種麹による突きハゼ型の麹です。
□米麹
□市販の米麹 ←どぶろく、味噌、醤油兼用であり、酵素が不明。
□手造り米麹
←突きハゼ型、低プロテアーゼの麹が造れるかも。
□種麹 ←清酒用種麹。低プロテアーゼの種麹が良い。
□麹箱
←麹菌繁殖のための温度管理ができる空間
□麹蓋
←麹箱内に入れる麹を盛る箱(麹蓋といいますが見た目は箱)
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